妙國寺の歴史

古くから要所として捉えられてきた、妙國寺

妙國寺は、日蓮宗のお寺。開基は、文亀元年(1501年)です。土佐守護代細川勝益公が、京都にある頂妙寺の妙國院日祝(にっしゅう)聖人を開山として迎え、現在の高知県南国市に創建した桂昌寺が始まりとされます。第二次世界大戦中、高知大空襲にて全焼するも、お檀家様の支えと先代の住職の苦労があり約20年の時を重ね、再建に至ります。高知市内の日蓮宗のお寺としては最古の寺です。

妙國寺の取り組み

寺の役割を今、改めて考え、未来を見据えた活動に取り組む

古くから地域の方々に信頼されてきた妙國寺。住職の渡邊 泰秀(たいしゅう)さんは、積み重なった寺の歴史を大切にしながら、活動を行っております。また、日本全体の人口が減る中、高知県でも少子高齢化が大きな問題です。そんな中、副住職 渡邊 泰雅(たいが)さんを中心に、今の時代に求められる寺の役割について考え、新たな取り組みを積極的に行っております。「これからの寺の役割」について、前向きに現状を捉え、行動されているお寺です。

住職の想い

住職の渡邊 泰秀さん(以下:住職)と副住職の渡邊 泰雅さん(以下:副住職)にお話をお聞きしました。

妙國寺住職インタビュー:渡邊泰秀住職

住職の渡邊 泰秀さん

妙國寺住職インタビュー:渡邊泰雅副住職

副住職の渡邊 泰雅さん

格式高く、多くの信頼を集めてきた妙國寺

──妙國寺の歴史について教えてください。

住職:文亀元年(1501年)、細川勝益公が、妙國院日祝(にっしゅう)聖人を開山として迎え、現在の高知県南国市田村に創建した桂昌寺が始まりです。時代は下り、江戸時代、5代将軍徳川 綱吉の時代になると、生母が桂昌院となったので、はばかって大乗寺と名前を変えます。その後、隣のお寺の火事が原因で、寺が燃えてしまい、今の場所へと移ります。その際、お寺の開山である國院日祝聖人の名をとり、妙國寺としたと聞いております。また、近代になりますと、戦時中、高知大空襲により全焼してしまいます。先代の住職は大変な苦労をして、お檀家様と力を合わせて再建に挑まれました。完全な再建は昭和41年となり、約20年間の苦労が実った結果が今の寺の姿へと繋がっています。また、古くから、法縁の出世寺とされ、格式の高い寺として認知されていました。実は、お寺の門には菊の紋章が刻まれています。菊の葉で囲んだ珍しい形の菊の紋章です。これは先代の住職からの話ですが、後水尾天皇から祈願祈祷のご依頼を受けたことがきっかけで、菊の紋章をつけることを許された寺とされています。

妙國寺住職インタビュー2

境内には、県の文化財に指定されている鐘があり、寺の始まりである京都の頂妙寺から運ばれてきた記録が刻まれている。鎌倉時代の供出を免れた県内で4つしかない鐘の内の一つ。

妙國寺住職インタビュー3

樹木葬の契約者に渡されるファイルには、寺の菊の紋章が刻まれている。

未来に向けて、今できることを積極的に取り組んでいく

──現在のお寺の活動について教えてください。

副住職:どこの地方でも言われていることですが、高知県全体で人口がどんどん減っています。ただ、県の人口の半分が高知市におり、そこに妙國寺が位置することは特筆すべき点です。ですが、県庁所在地がゆえ、人口の流出が激しいため、意外とご近所づきあいが少ないため、人と人との結びつきをつくる寺という役割をもっと強くしていきたいと考えております。実は18年前から、仁淀川町にある善法寺の住職を兼務で務めています。仁淀川町は人口が5000人。ここ10年で人口が4分の1減ってしまいました。高齢化率も55%超となっており、全国平均よりかなり高い数値となっています。そういった状況もあり、市内に比べますと、お檀家様同士がとても濃い人間関係で構築されています。そんな環境下で現在、N P O法人をお寺とは別に立ち上げ、さまざまな活動を行っています。例えば、寺といえば寺子屋。未来をつくるのは次の世代ですので、教育分野で何かできないかと考えました。今後、センター試験の科目になると言われているプログラミング。都市部ですと、親御さんが今から逆算して習わせている方も多い科目です。現在、東京で活動されている団体さんと組んで、お子さん向けのプログラミングの塾を善法寺で開こうと試行錯誤しております。こういった善法寺での取り組みによって得た人脈や経験が、いずれ妙國寺の住職になった時に活かせるよう、積極的にさまざまな活動に取り組んでいる最中です。

妙國寺住職インタビュー4

「今、生きている人たちが」幸せになるため、必要とされる寺に

──地域の方々に、お寺としてどのように役に立っていきたいと考えておりますか。

住職:高知県では、昭和の時代、ご自宅で葬儀も法事も行うことが通例でした。また、墓に関しても、平地が少ないという土地の性質もあり、山の中に建てることがとても多く、今もそのような墓が多くあります。また、近年は都市型の霊園を利用する方もいらっしゃいますが、やはり山間にあることが多く、車が必須になっています。そんな中、特に私が気になっているのは、無縁墓地です。特にご家族が高齢になってくると、維持管理などがとても難しい現状があります。今までも寺にそういったご相談をいただくこともあり、今回、樹木葬をきっかけに、困った方々にお力添えできるのではないかと考えております。

副住職:私は、「生きている人が今、もっと幸せになるために」お寺に来てほしいと考えております。妙國寺において現在、「テンプルモーニング」として、お寺で朝活としてお掃除や瞑想、朝粥を食べる会などを定期的に行っています。その活動の最後に、集まった皆さまと、お話をするのですが、世知辛い今の世の中で、お寺だからこそ、綺麗ごとが言える唯一の場所になれるのではないかと可能性を感じている最中です。やはり、寺ですので、お墓に関するご相談やご家族が亡くなったことが、きっかけとなり、ご縁をいただくことが多いですが、そのご縁一つ一つを大切にしていきたいと思っております。また、他宗派の方や檀家さんではない方とも、ご縁を結ぶために樹木葬は良いきっかけになると考えております。

妙國寺住職インタビュー5

樹木葬を通して、困っている方々の力になっていきたい

──樹木葬を考えている方へのメッセージをお願いします。

住職:妙國寺は、市内の中心地に位置しているため、今まで不便な場所にお墓があり、困っている方々のお力になれると感じております。現在、そのような動機で、樹木葬を利用される方が増えております。また、寺の歴史も古く、樹木葬の設計も落ち着いた雰囲気ですので、安心してご相談にいらしていただければと思います。

副住職:現在お持ちのお墓についてお困りの方に加えて、新たにお墓を考えている方もいらっしゃると思います。お気軽にご相談に来てくださればと思います。妙國寺では、テンプルモーニングを始めとした、どなたでもいらしていただけるイベントも定期的に開催しております。多くの人たちとのご縁を大切にしていきたいと考えておりますので、足を運んでくさればと思います。

妙國寺住職インタビュー5

住職、副住職、お話ありがとうございました。

取材・文:大島 有貴

交通案内

妙國寺 樹木葬土佐潮江庭園

〒780-8014 高知市塩屋崎町2-13-4

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妙國寺の樹木葬

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